ホスピスの考え方が日本とは違います。 | アクティブウーマン看護留学ブログ

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ホスピスの考え方が日本とは違います。

日本には台風が来たとか来ないとか。
私は九州出身なので、少し心配でしたが、
そんなに大きな被害もなく通り過ぎたと聞いて安心しました。

ここメルボルンは寒い日が続いています。
日本の蒸し暑い夏は好きではありませんが、
周りからここメルボルンがもっと寒くなると聞いてしまうと、
これ以上の寒さに耐えられるか不安になります。

さて、看護コース第12回についてご紹介したいと思います。

第12回は、Caritas Christi Hospiceを訪問しました。
ここは、第3回で講師をして頂いた日本人看護師のHughさんが働いているところです。
今回は、再びHughさんを講師に迎え、このホスピスの説明と施設見学をしました。

ここは、St Vincent's Hospitalに併設されたホスピス病院にあたり、28床の施設です。
入院に際しては、蘇生をしないということが前提だそうですが、
1年間で亡くなるのは全体の約70%ほどだそうで、その他は家に帰ったり、
Aged Careの施設へ移ったりもするそうです。

蘇生をしないとは言っても、日本のようにいわゆるグレーゾーンもあるようで、
家族が本人へ伝えないで欲しいという場合もあるとのことでした。
このグレーゾーンの場合、救急時は治療のため緊急搬送することもあるそうです。

緩和ケアという言葉が一般的になってきたとはいえ、日本でホスピスと言うと、
最期の場所というイメージがまだまだ強いと思うし、実際の統計は分かりませんが、
先進国の中で考えれば、ホスピスという施設自体が諸外国に比べて
日本は少ないのではないかと思います。

特に、このホスピスの説明で日本と違うと感じたのは、
Postoral Care Workerという職種があることです。

私の解釈で言うと、いわゆるGriefケアを専門にしている専門職で、
家族のサポートを色々な方法で行っているそうです。
亡くなった3週間後に電話をしたり、いわゆる一周忌のようなこともされているようでした。

また、「Butterfly Service」という指紋で蝶を作って、
タイルを焼き上げて記念品にするというサービスもあるそうです。
実際に見せてもらいましたが、とてもきれいでした。
そして、スタッフに対するケアも行って貰えるそうです。

Griefケアの重要性は、看護師のケアのひとつとして大学時代で学習した記憶があります。
ですが、私が勤めていた病院では、いろいろと落ち着いて家族が病院へこられた時に、
ご挨拶をするのが精一杯の状況でした。

基本的には、最期のお見送りをしてそれっきりということがほとんどだと思います。
ここでは、Postal Care Workerさんが、Griefケアを大学で専門的に学んで資格を持っており、
家族のサポートをしているというのは、すごくいいサービスだなと思いました。

Hughさんの話の中で印象に残っているのは、ホスピスケアにおいても宗教の違いで
それぞれ対応が変わるという点です。
中国のとある宗教では、亡くなって8時間触れられないという状況になるそうです。

また、ユダヤ教の患者さんが亡くなったら、とにかくドアや窓を開けるそうです。
それは、亡くなったあと、魂が体から出て外へ出るということが大事だそうで、
魂がビルから出ないといけないというのが理由でした。

イスラム教の患者さんは、最期の時にメッカの方角を向いていないといけないそうで、
ビルの構造上それが難しい時は、ほんとうに最期の時に急いでメッカの方に向くように
ベッドを移動するということでした。

ここまで看護コースを受けて、やはり宗教というものが、
ここでの看護ケアに大きく影響しているということは、日本との大きな違いのように思います。

私の看護師経験では、あまり宗教を意識したことはなかったので、
ここオーストラリアに来てこんなにも宗教の違いがあること、
それによって看護ケアの方法が変わってくるということを学ぶことができました。
日本にいては、なかなかイメージしずらいですよね。

そして、宗教の違いだけではなくて、風習の違いもあります。日本は火葬がほとんどですが、
こちらは土葬が多いようで、埋葬されるまでに2週間ほどの時間をかけるそうです。
そのため、エンゼルケアは行わない、というか葬儀屋さんが特別な処置を施して
2週間きれいな状態を維持できるようにしてくれるそうで、エンゼルケアの必要性はないとのことでした。

状況によっては、清拭をしたり更衣をしたりすることはあるそうですが、
日本でやるようなエンゼルケアは行わないということでした。

私は、緩和ケアの経験はあまりありません。
ですが、今回説明して下さったHughさんのお話は、本当に面白いと思うし、
緩和ケアを専門にしている人にもそうでない人にも、大変興味深いものだと思います。

この面白さをうまく文章でお伝えできないのは申し訳ないですが、
今回のブログを読んで、面白いなと思った方は、
是非この看護コースでの留学を検討すべきだと思います。

決して明るい話題ではありませんでしたが、
最後まで読んで頂きありがとうございました。










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