日本にはないHospital in the Home(HITH)という仕組み | アクティブウーマン看護留学ブログ

オーストラリア看護留学 » 看護留学ブログ » 日本にはないHospital in the Home(HITH)という仕組み

日本にはないHospital in the Home(HITH)という仕組み

8月になり、私の留学生活も7ヶ月目に突入しました。

MLC卒業まで残り半年、もう折り返しに地点にきたのかと思うと不思議な感じです。
日本は蒸し暑い日が続いているようですが、こちらは寒くなったり暑くなったりと、
相変わらず安定しない天気が続いています。

先日は、ものすごく快晴でしたが、外に出るとものすごい風が吹いていました。
メルボルンは1日のうちに四季がくると言われますが本当ですね。
慣れたのか、さほど驚いたりはしなくなりました(笑

今回は、「Hospital in the Home(HITH)」というプログラムについて
講義を受けましたのでご紹介したいと思います。

このプログラムは、ここビクトリア州で展開されている、
いわゆるヘルスケアサービスの一つのようで、
自宅にいながら病院に入院しているのと
同様の医療を受けることができるというものです。

日本にこういったシステムはないと思うので、もう少し分かりやすく説明すると、
患者さんは病院に入院していることになっているけれども、
病院のベッドは利用していないという状況になるようです。
イメージ的には、日本では外泊中の患者さんという感じのようです。

ここビクトリアでは、入院ベッド数不足の問題が顕著になり、
この問題を解決するためにこのプログラムができたようです。

なので、まだ治療は必要だけれど、
自宅でも大丈夫そうという患者さんに声をかけて、
本人が希望した場合はこのプログラムに移行できるそうです。

これは公立・私立病院であわせて52個のプログラムがあり、
HITHに移行したからといって追加料金は発生しないということでした。

本人が希望したといっても、自宅で医療が受けられるサービスのため、
HITHを利用できる条件というものが他にもあります。

まず、全身状態が安定していること。
そして、自宅で家族のサポートなどが得られること、
医療を受けるのに適した環境があること(電話などの連絡手段があること)、
HITHの提供する治療に適していること。

これらの条件を満たして、
自宅でも治療継続できそうな場合は、
入院患者扱いで自宅に戻って治療を継続することができます。

このHITHの利点は、自宅にいながら治療を受けられるため、
病院とは違い家族や友人と過ごす時間が持てること。

患者さんにとって信頼できる家族や介護者がそばにいること、
病院のベッドと比べてしっかり休息できること、
回復したあとすぐに日常生活に戻ることができること。

そして、高齢者にとっては、環境の変化に伴う急性混乱や
せん妄などの予防ができるなどの利点があるようです。

このプログラムを通して提供される医療は、
それぞれの患者さんの状態によって異なるそうです。

52個のプログラムがあるので、その内容について
ひとつひとつは説明されませんでしたが、
救急外来からそのままHITHへ移行して自宅療養という形や、
手術後の状態が安定してからという場合など様々なようです。

そこで、最低1回/日はHITHの医療スタッフ(医師、看護師、PTなど)が
自宅を訪問して処置や治療を行うようです。

ここでの、看護師の主な役割は、連日の抗生剤投与、創処置、静脈留置針の交換、
採血、などの病院で普段行っているような医療処置から、
糖尿病の教育などまで様々あるそうです。

今回講義をして下さったメラニーさんの話だと、
ここで働いている看護師さんは卒後2~3年後以上の人がほとんどということでした。

だいたい6~8人/日を担当して、DVTの患者さんの採血が2回/日、最初の採血を病院にもっていき、
その後に抗生剤投与の患者さんに薬剤投与しながらバイタルチェックや記録、
必要な場合はルート交換をして再びDVTの患者さんの採血という感じになるそうで、
時間管理がすごく重要だとおっしゃっていました。
想像するだけで大変そうだなぁという感じですが(笑)

基本的には1人でこなさなければならないようですが、採血がどうしても難しい場合は、
近くにいるスタッフに電話して、その家にきてもらって
採血を交代してもらうこともあるそうです。

記録用紙もみせてもらいましたが、アセスメント、治療プラン、温度表など
病院で使用しているのとなんら変わらない印象でした(手書きですが…)。

今回の講義は、そもそも日本にこういったシステムがないので、
なかなかイメージしずらく、
文章でうまく伝わったかわかりません。

私の印象としては、これだけの医療処置が自宅にいながら受けられるのは、
患者さんにとってはすごくメリットがあるのではないかと思いました。

入院というストレスが少しでも軽減されて、回復も早いのではないかと思います。
一方で、医療を提供する側にとってみたら、病院と同じことを自宅で、
言い換えると慣れない場所で提供するというのは、
とても難しいことだろうし大変だろうと思います。

ですが、ある程度の経験があって、訪問看護に興味があるという方には、
こういったところで働くのも、日本にはないシステムですし、
とても興味深いのではないかと思いました。

日本でもベッド数不足や在院日数の長期化という問題はよく聞かれます。
私の勤務していた病院では、在院日数を減らすために、
手術直前まで外来で対応して、
手術前日に入院するといった方法もとられていました。

今回勉強したこの「Hospital in the Home」というプログラムのように、
日本でも入院患者扱いで自宅で療養という方法がとられる日が、
もしかしたらやってくるかもしれませんね。

今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。

看護留学ブログ一覧はこちら