訪問:緩和ケア ”全ての人のために” | アクティブウーマン看護留学ブログ

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訪問:緩和ケア ”全ての人のために”


メルマガを読まれている皆さん、初めまして。
オーストラリアに看護留学中のAsukaです。

今期のメルマガを後任させて頂くことになりました。
堅苦しくならない様、気楽に読み進めてもらえる内容を
お届け出来たらと思います。宜しくお願いします!
 

 
満開の桜の季節を後にして到着した南半球側の4月の頃は、
まだ夏を思わせる暑さが残っていたことを記憶しています。
半袖にサンダルといった軽装で出掛けられていました。
 
 

それから色鮮やかな紅葉が目に付くようになってきたなと
感じているましたが、7月中旬の現在は本格的な冬季に突入しており、
今ではコートにマフラーとブーツといった格好です。
 

目まぐるしく過ぎ去ったここ3ヶ月でした。
ホームシックにかかる暇もありません! 笑
 
 

それではここで少し私自身の自己紹介をさせて頂きます。
私は正看護師として2つの病院で勤務していた経歴があります。

地域密着型病院の混合病棟と、
ある離島にある病院の精神科病棟勤務でした。

どちらも忙しいなりにやりがいもあり充実した毎日でしたが、
何かずっと心の奥で引っかかっていることがありました...
 
 

 
高度医療技術のお陰で救われる命があることは確かなのですが、
終日人工的な機械や器具に囲まれている入院患者さんを
見ているのが心苦しくなってきたんです。

無機質的な空間でしか治療や看護が出来ないものなのだろうか・・・
そうして調べ始めて辿り着いたのが「自然療法」という考え方でした。
 
 

健康なうちからアプローチして、
健康の増進と維持を目的に免疫力を高めていきます。

身近なところでは、普段の食事でさえも
この分野がカバーする内容となります。

食物は私たちを作っている欠かせないものですよね。

それから日本でも美容や癒しとして
注目度の高いアロマセラピーやマッサージなど含まれます。
 
 

 
オーストラリアでは肥満体格の方を目にする事がある一方、
通勤前の歩道や休日の公園をランニングしている方を
多く見かけるのも事実です。

ガーデンシティとの別名を持つメルボルンは、
街中に沢山の大きな緑があり通り抜けるだけでも爽快ですよ。

24時間オープンのジムも市内にいくつかありますね。
ロッククライミングやサイクリングを楽しむ人も!
 

 
 
オーガニック専門のマーケットもあちこちにあり、
健康志向は運動だけでなく
食べ物についてもしっかり根付いているんだなと分かります。

マーケットはフルーツや野菜はkgごとに計量されるシステムになっており、
一人暮らしでも大家族でも、
必要な分だけを買う事が可能なので便利です。
空腹を満たすおやつとしてナッツや果物を持参している人もいますよ。
 
 

 
長文になりましたが、そんな経緯で自然療法を
看護の切り口から学びたいと思い、
看護留学のあるメルボルンの語学学校を選ぶに至りました。
 
 

毎週火曜日に当校での講義または外部への訪問といった形で、
週に1回の平均2時間あまりの看護コースを受けています。

すでに1ブロック(12回分のクラス)が終了しており、 
この火曜日からはブロック2に入りました。
留学期間が皆さん異なるため、メンバー随時入れ替わります。

殆どが看護師ですが、中には助産師や作業療法士として
参加されている方もおられたりします。
 

 
経験年数や専門分野は異なりますが、
オーストラリアの医療を知りたい!という目的意識は共通しており、
毎週共に受ける授業はとても貴重な時間であり、良い刺激になります。
 
 

 
さてここからが本日の本題です。

先日は学校から40分ほどマイクロバスに皆で乗車して、
Banksia Palliative Care Service(バンクシア緩和ケアサービス)
というセンターを訪問しました。

ここは緩和ケアの医療を展開されている機関であり、
講義をして下さったのは何度か日本にも足を運んだことのあると
親日家の経営責任者であるジュリーさんです。
 
 

まずスクリーンに大きく写し出されたのは、
[緩和ケアをどう定義しますか?]との問いかけから始まりました。
導入時点からの突然の質問にふいをつかれ、
まず私の脳裏をよぎったのは死に直面した最終段階のケア介入という事でした。
 

 
オーストラリアでは診断や時間といった予後を踏まえた点では、
緩和ケアの定義に幅が出てきています。
末期医療は元より癌疾患や慢性期、
老人介護施設に入所している方でさえも対象者になり、
生活の質といった観点では、最期の数日又は数週間に限った
ケアであると言い切れないとの事です。
 

対象者のコンディションが多様であることは、
その方に応じた対象期間は必ずしも短期間とは
言い切れないと言うことですね。
 
 

生命が脅かされた患者さんと家族は、
実に様々な辛い感情や状況に置かれることになります。

患者さん側からの直面する項目としては、
不安感、孤独感、人間関係の変化、容姿の変化など
それと同時に同様の内容を共有しているのは家族または介護者になります。

経済的な負担や仕事の調整の必要性が出てきたり、
身近な人が抱える症状や悪化を間近で見ている苦悩があります。
 
 

緩和ケアを受けるべき人は、慢性的な病状や進行性のある疾患、
また特定の段階で終末期を迎えたり、
患者さんと家族が生活の質を重視するとした方達を含みます。

どのような病状の例があるかと言いますと、
癌、加齢による身体的衰弱、認知症、ターミナルステージ、
COPD…など沢山あります。
 

 
長期戦になる疾患が多く、不安や心配を早期から理解して
円滑なコミュニケーションを取っていくことは、
利用者とケア提供者との間に良い関係性が構築できるとのこと。
今よりも早い段階での介入が望まれる様です。
 

早期診断がなされた際から、次にどのようなプロセスが予想されるかを
ICすることで自分の置かれた状況が理解出来ますし、
意思表示を書き出しておくと、後に家族が何かを判断するのに役立ちます。
 

 
2013~14年にかけての統計によりますと、
管轄地区人口の35万人のうち年間に紹介されたのは約6割の方。
癌患者は85%を占めており、残りの15%は慢性期疾患との内訳です。
 

ウェルネス精神に基づいてサービスが提供されているので、
地域サービスのネットワークが確立すると、
ケアセンターからのサービスは一旦打ちきりになります。

出来る限り自宅で過ごしたいとの思いの方が多い為、
ケアセンターでのサービスを繰り返し利用しながらの
地域生活を営む方もおられるようです。
 

次はお金の話に少し触れます。
 

幅広いケアをカバーしておられるケアセンターですが、
その経営を担う財源はなんとその8割りが政府からの
補助金となっているとのこと。

多額の資金を投資するには、全ての医療スタッフが
関われるべきだとの認識があり、
またケア提供の場所が病院などよりも明らかに在宅の方が
コスト的にも負担が少ないからとの理由だそう。
 
 

なので、患者さんの手出しは基本的にありません。
かかりつけのドクターへの支払いや特別な医療、
または家事代行などを依頼した場合には収入に応じた
負担金を支払う事にはなります。
 

教育コースとセミナーについては、
実に多職種の方を対象に学んでもらえるようになっています。

一般の開業医や看護師を始め、介護職、教師、日本では
聞きなれませんがディバージョナル、
そしてボランティアの方たちなどです。
 

ボランティアの方たちの一部の中は、
以前に自身の身内を亡くされた遺族の方が、
今度は支える側になって活躍されているとのことでした。
 
 

最後に、ここのケアセンターが大切にされている方針を紹介します。
とても真っ直ぐな気持ちが伝わってきます。
 
 

        あなたがあなただから大切な存在
        人生の最期まで大切な存在
        安らかな眠りのため、
        そして残りの大切な人生のために、
        私たちは全力を尽くします。
 

 
補足ですが、バンクシアは東京にあるパリアンという
姉妹提携をされているようです。
ひょっとして既に馴染みのある方もおられるかも知れませんね。
 

本日はここまでになります。読んで頂きありがとうございました!






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