講義:病院による訪問看護(HITH) ”地域生活へのアプローチ” | アクティブウーマン看護留学ブログ

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講義:病院による訪問看護(HITH) ”地域生活へのアプローチ”


皆さん こんにちは

4回目のメルマガをお届けします。国内では猛暑が続いていますね。
先日は毎年恒例の暑中見舞いを、何通か日本の家族や友人に送りました!

さて看護コースでは、ここしばらくは訪問でなく学内での講義が続きます。
今回は、病院の敷地内に併設する訪問看護についての授業を受けました。

講師の方は、以前にも病院見学をした際に案内をして下さった
メラニーさんと言う、大きな笑顔が印象的な正看護師の方です。

授業はテンポ良く進行され、
少しの休憩を挟んでの2時間半は、あっという間でした。

オーストラリアではメディケアと言うありがたい保険制度のお陰で、
患者さんが支払う医療費は基本的に無償です。

なので病院から家庭に看護が提供される場所が移動しても、
新たにコストが発生することはありません。

在宅に戻ってからも、それまでに担当していた各病棟に属した患者として
継続なケアを受ける事が可能な仕組みになっています。

オーストラリアでは、1ヶ月以上の長期入院となる場合は
地域の訪問看護施設に移行します。

自宅で過ごせる程度のある落ち着いた状況にある方を対象に、
急性期から亜急期にも対応しています。

バックアップが病院であることは、患者さんにとっても心強く、
術後でも安心してすぐに在宅に戻ることができるのだと思います。

高齢者人口増加も影響し、テクノロジーの発展に滑車が掛かり、
更には治療を受ける場所の選択に幅が出てきました。

また在院日数の短縮に伴って臨床現場が病院の外へと
移行したことは空床の減少に繋がり、
単位時間内に処理できる患者数が増えてきました。

病院からの退院先がホームと一口に言っても、
それは個々の状況によって多様であると言えます、

メラニーさんの体験談によると、
キャラバンと呼ばれるトレーラー(キャンピングカーの車両)、
高齢者のケアセンター、ホステル、多忙なビジネスマンは
希望によりオフィスなどを訪問場所として訪れた経験があるようです。

緊急のある場合にでも治療の場所が病院に限られるとしたら、
救急車で救急室に直接搬送されるような容態ければ、
数時間は待機する覚悟が必要だそうです。

高齢者がストレッチャーで待機を長時間強いられると、
せん妄や転倒、縟瘡、苛立ち、
さらには他患者からの感染のリスクも懸念されます。

在院日数を減らせたら、院内感染にさらされるのリスクも減り、
医療機関にとってのコストダウンも図れます。

さて、ここでメラニーさんからの質問が投げ掛けられました。
治療や看護の場所として自宅に焦点をあてる事のメリットは
何が挙げられますか?

安心感や気兼ねなさなど、
精神的な面が私の脳裏に先ず浮かんできました。

この他にも、プライバシーやセキュリティが守られる、
紛失のリスクが少ない、(老々介護だと特に)交通面や
生活面での時間と金銭に制約が軽減されるなどです。

交通網についてお話すると、
ある年齢になると高齢者は割引になりますが、
駐車料金については基本的に適応がされません。

メラニーさんが参加した講習先のある病院では、
立派な立体駐車場かあったそうなのですが、
なんと料金が1時間毎に14ドルもしたんだとか!
…いい値段がしますね。

利益を受けるのは患者さんと家族はもちろん、
働くスタッフのモチベーションの維持と向上に貢献しているとのこと。

医療機関以外で勤務することは責任感がより生まれてやりがいを
感じやすい傾向にあると言えます。
また外の空気を吸って、地域を舞台に勤務することは
良い気分転換も図れるのだとか。

HITHが架け橋となって、かかりつけの医師と受診先の病院を結んでおり
コミュニティへ帰属するに際しての調整をバックアップしています。

双方にとっての利点が沢山あるからこそ、
しっかりとした礎のシステムが
成立しているのですね。

サービス利用の適性としては、看護業務が滞りなく遂行出来る環境、
清潔さ、子供やペットの有無、
家具などの配置などを考慮する必要があります。

例えば、点滴に関して過去に乱用の既往が発覚した場合、
残念ながらプログラムは不適応となり、
医療機関の処置室にての治療が適応されます。

また訪問先が安全でないと判断されたケースは、2名体制で訪問したり、
男性看護師が担当したり、
あるいは建物の管理人と一緒に部屋を訪問するなどの
対策が臨機応変にとられています。

看護師は自らの身を守る義務もあります。

防衛や安全面に関しては、看護師は防犯ブザーを保持しておられ
警察と救急車を要請するのに直通のピッチも支給されているようです。

年間に、警察官からレクチャーを受ける機会も設けられていて、
緊急時に助けを呼びたい時は「助けて!」ではなくて…
「火事だ!!」との声を上げると抜群の効果が得られるとのこと。

本当に必要な時に備えて、ぜひ覚えておきたいですね!

スタッフの採用基準についてです。

最低でも2年から4年程度の急性期か外科での経験年数が必要で、
協同性とマネージメント力が大事となります。

そして時間管理のスキルや、
うまく行かなかった際の代案が考慮出来ることも求められます。

もちろんチームで動いていることが前提なので
訪問先で判断に迷うことがあれば、
その場で写真を撮影して持ち帰って他の職種と協議
したり、パソコン画面を通じてその場で医師に相談も
出来るようになっています。

症例の多い疾患は、深部静脈血栓症や骨髄炎などです。
オーダーされた採血の結果を早く知るために、
訪問を午前中に済ませて検体を採取したり、
創傷ケアを行う際には前もっての鎮痛剤を内服してもらうように
電話で指示を患者さんに出すなどし、
巡回順序を効率的に組めるよう努めておられます。

訪問は1日に2回までと基本的な規則があります。
それが厳守できるように、インシュリン注射などの自己管理が可能な技術は
2回目は自身で施行が出来るように指導を重ね、自己管理を目指します。

今後の課題としては、一般医が担う範囲の拡大が見込まれるので、
訪問医の需要が増加に対応すること。また今後は予防医学の側面から、
テクノロジー開発が一層進むことは間違いありません。
新たな知識を貪欲に吸収していくことが必要です。

細い道の多い日本では、訪問看護師が街中を自転車に乗って回る
事もありますよね。その事をメラニーさんに言ってみると、
「(小回りが利いて)そのアイディア良いわね!」と
感嘆されていました。

ここでは移動は基本的に大きな車なので、
駐車スペースの確保に苦労されるようです。
こ自転車に乗っている仕事人の風景で最近思い当たるのは...
ピザの配達屋さんでしょうか!

添付の写真は、過去に実際使用されていた紙カルテのファイルと、
エピペンです。

今回はここまでとなります。最後まで読んで頂きありがとうございました。






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