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オーストラリアでは緩和ケアの定義が広範になってきています。

今回はバンクシア緩和ケアサービス(Banksia Palliative Care Srevice)で
緩和ケアについての講義を受けてきました。

ここは、Heidelbergというところにあり、
在宅緩和ケアサービスを無料で提供しています(医師の診察は別料金)。
財源の80%は政府からの補助金、残りの20%は投資や寄付、
募金活動、教育コースなどから得た資金で運営されています。

ここで働く看護師は27名、その他ソーシャルワーカー、
スピリチュアルワーカー、マーサージセラピスト、
Art&Music セラピストなど多職種の専門職がスタッフとして働いています。

そして、面接などを得て48時間のトレーニングを受けた
ボランティアスタッフが35名いるそうです。

今回の講義では、オーストラリアでの緩和ケアについて学びました。
オーストラリアでは、診断・予後の点で緩和ケアの定義が非常に広範に
なってきているそうです。

QOLという視点で考えた時、患者さんの人生の最期の数日・数週間
に緩和ケアを提供してもさほど意味はないという考え方から、
緩和ケアは末期医療よりも幅広い意味を持ち、
がんと診断された患者のみを対象とすべきではないという説明を受けました。

そして講義の中で、
シリンジ・ドライバー・プロジェクトについての説明を受けました。
このシリンジ・ドライバーは、私のイメージで言うと在宅用の皮下注射用
シリンジポンプといった感じです。

この勉強会を開いて、介護スタッフの教育をしたり、
プロジェクト参加の各施設にこのドライバーを購入したり、
マニュアルを作ったりしているそうです。

そして、ここで提供されているサービスを受けているのは、
HIV/AIDS、パーキンソン病、運動ニューロン疾患、末期のCOPD、
末期の心臓疾患、認知症、末期の腎・肝疾患、高齢のため
死を迎える人々など様々だそうです。
ですが、ここに紹介された患者の85%はがん患者だそうです。

私の勤めていた病院にも、緩和ケアチームがあって、
病床数は少ないですが緩和ケア用のベッドがいくつかあったように思います。
私は救急と術後急性期の患者さんが中心の病棟で働いていたので、
緩和ケアとは程遠いところでした。

その前は、長く内科の混合病棟にいたので、
いろんな患者さんの最期に関わることもありました。
緩和ケアの定義がどうであれ、
やはり最期までその人にあったQOLを目指すというのは本当に大事なことだと思います。

ここでQOLと言っても、これがどれだけ難しいことか、
少しでも働いたことがある看護師さんは容易に想像がつくと思います。
看護師も人間ですし、病院側の都合だったり、施設上の問題だったり、
いろんなしがらみが生じてしまいます。

大事なことだとは分かっていても、それを実践できていたかと自分に問うと・・・。

日本での緩和ケアの考え方が、
私の学生時代とどう変わっているかは定かではありませんが、
オーストラリアだろうが日本だろうが、
その人にあったQOLを目指すという根本的な考え方に違いはないように思います。

違いがあるとしたら、
ここが政府から8割もの援助を受けているということだと思います。
きっと、日本に同じような在宅緩和ケアサービスや
訪問看護サービスがあったとしても、ここまでの資金援助は見込めないし、
サービスは有料になると思います。

在宅でそれなりの緩和ケアを受けると考えれば、
コストもかなりかかることが予想されます。
オーストラリアでは、こういった団体が政府からの援助を受け、
サービスを無料で受けれるというのが日本との大きな違いのように感じます。

4月から始まったこの看護コースですが、
メルボルンにある医療施設を見学したり、
ここでの医療サービスについての講義を受けることができました。

ですが、今回で訪問や講義は最後になります。
今後は医療英語の授業が始まります。全体的な感想としては、
オーストラリアは広いし多国籍な国なので、施設の規模は桁違いに大きいし、
専門職の数も多く、宗教によって看護ケアが変わるというのは大きな違いのように思います。

私がこのブログで紹介できたのはほんの一部ですが、
少しでも興味をもって読んでもらえたのであればうれしい限りです。

それぞれの経験によって、興味や知りたいことも違うと思うので、
もし興味が持てたのあれば看護留学を検討してみてください。
まだまだ私の留学とこのブログは続きます。

ひとまず、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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